20世紀のベスト・ミュージカル! ―TIME MAGAZINE-
19世紀末、メイン州の海岸沿いの村。回転木馬で客引きをしている魅力的な青年ビリー・ビグローは、純真な心を持つジュリー・ジョーダンと恋人となりやがて結婚するが、客に手を出したことが原因でビリーは客引きの仕事を解雇される。失職中のビリーはジュリーが自分の子供を身ごもったことを知り、家族に不自由ない生活をさせたいがために強盗の計画に加わる。しかし強盗に失敗、警察から逮捕されそうにになり、いずれ刑務所に送られることを悟ったビリーは、その場で自らの生命を絶ち「あちらの世界」へと送られてしまう。
「あちらの世界」でビリーは一日だけ地上に戻ることが許されるが、地上ではすでに15年の年月が流れていた。初めて見るビリーの娘は孤独で、父親が強盗だったということに対する周囲のいじめと冷たい視線は、彼女の生活に大きく暗い影を落としていた。残された娘と妻のジュリーに、ビリーが生きる希望と尊厳の意味を必死に伝えようとする姿は、愛のもつ偉大な力を証明する。ロジャース自身、自分が創ったミュージカル作品のなかで本作が最大のお気に入りであったのも、十分に納得がいく。
このバージョンは、台詞がオリジナルの脚本より短くされ、より音楽に特化したコンサートとして上演できるように編纂された内容となっている。