ギリシャ悲劇の「王女メディア」を大胆な解釈で再構築したこのミュージカルは、サンフランシスコ・エグザミナー紙により「新世代で最も評価されている作曲家の一人が手がけた大作」と称揚された。
ニューオリンズの裕福なクレオールの家庭に育った黒人のマリー・クリスティーンは、恵まれた上流社会の出身だが、野心的なコーカサス(白人)の船長への激しく一途な愛が彼女の運命を大きく変えてしまう。二人はシカゴに渡り結婚するが、夫の政治的野心がマリーを裏切り遠ざけるようになると、やがて彼女は恐ろしい復讐の道を歩み始める……。
リンカーンセンター初演において「卓越した “王女メディア” のリメイク版。新鮮かつ胸をえぐられるような衝撃をもったミュージカル」とニューヨーク・デイリーニューズ紙から評された本作は、20世紀最後にオープンしたブロードウェイ作品の一つでもある。『マリー・クリスティーン』は、人類史以来いまだ解明されない人間の心の闇に鋭く切り込み、観客の心を鷲掴みにする。