「すべてが歴史、誰もが知っている歴史。裕福なカトリックの家に生まれた娘と、ロウワー・イーストサイドに住む貧しいユダヤ教徒の移民の息子のロマンスが始まりだった」──アーヴィング・バーリンの長女であるメアリー・エレン・バレットは、父バーリンの伝記 “A Daughter’s Memoir” でこう書いている。この著書を元にこのミュージカルは作られた。
100年以上にわたる長い生涯を通してバーリンは1000曲以上もの楽曲を生み出している。かの作曲家ジェローム・カーンに「アメリカの音楽史にアーヴィング・バーリンという男は登場しない。彼がアメリカの音楽そのものなのだ。」とまで言わしめた。作曲家としての50年以上のキャリアの中でバーリンの作り出したバラード、ダンスミュージック、ラブソングの類は、アメリカのポピュラー・ミュージックを決定づけた。
本作は、ニューヨークの有名なトリニティー高校で企画・製作され、何百人もの高校生が彼の偉大な実績を知ることとなった。アメリカの若い世代にとってバーリンは『ゴッド・ブレス・アメリカ』の作曲者としてしか知られていなかったが、本作を通して、ロシアからの貧しい移民の子供がバワリーのサロンでウェイター兼シンガーとしてキャリアをスタートさせたことを初めて知り、そして彼の曲を新しく知るたびに人生がより素晴らしくなることを学んだのである。
ティン・パン・アレーからブロードウェイ、ハリウッドから従軍ツアーのヨーロッパ大陸、そして太平洋へ、バーリンの物語はアメリカの世紀のすべてを映し出している。
上演時間:約2時間(休憩あり)